違和感をまとめ、深める

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ひとりで作り、ひとりで悩み、ひとりで動かし、ひとりで失敗する、を繰り返し、それでも生き抜く起業好き40代。

知的であるかどうか

という文章をたまたまネットで見つけた。

「知的であるかどうかは、5つの態度でわかる」
一つ目は、異なる意見に対する態度
知的な人は異なる意見を尊重するが、そうでない人は異なる意見を「自分への攻撃」とみなす

二つ目は、自分の知らないことに対する態度
知的な人は、わからないことがあることを喜び、怖れない。また、それについて学ぼうする。そうでない人はわからないことがあることを恥だと思う。その結果、それを隠し学ばない

三つ目は、人に物を教えるときの態度
知的な人は、教えるためには自分に「教える力」がなくてはいけない、と思っている。そうでない人は、教えるためには相手に「理解する力」がなくてはいけない、と思っている

四つ目は、知識に関する態度
知的な人は、損得抜きに知識を尊重する。そうでない人は、「何のために知識を得るのか」がはっきりしなければ知識を得ようとしない上、役に立たない知識を蔑視する

五つ目は、人を批判するときの態度
知的な人は、「相手の持っている知恵を高めるための批判」をする。そうでない人は、「相手の持っている知恵を貶めるための批判」をする。
Books&Apps 知的であるかどうかは、五つの態度でわかる。

違和感はどこから来る?

私はこの文章をよんでいくつか違和感を感じた。
その違和感はどこから来るのか。

大人が自分を探るというのは、違和感を見つける作業のようにも思う。
何も知らない子供ではもうなく、様々な他人の意見、社会の風潮、よく言われること、等を知っているから。
何となく「そうかな」と思いがちだけれど、自分の中の「いや、ちょっとまてよ」という声に耳をすましてみる。

文章全体はわかりやすく、なるほどと思う反面、あまりにも白黒つけすぎ、また「そうでない人」=知的でない人 について、やや極論すぎる。
そうではない人は……と例を挙げることで文章を明快にわかりやすくしている効果はわかる。

4つ目の項目にまず違和感を覚えた。
損得抜きに知識を尊重したいが、何のためなのか迷うこともあるし、迷うからといって役にたたない知識を蔑視するとも限らない。
ただ損得抜きに知識を尊重することがそこまで素晴らしいのだろうか。
受験なんぞまさに、テストの為の知識の詰め込みであり、正直興味のないことも丸暗記するものだが、しかし一体何のためにこんなに必死に興味のない知識を詰め込むのか…と疑問を抱くのはごくまっとうだと思う。
知識はそれを得たいと思った時にこそ、高い確率と純度で、より意味をもって吸収されていくように思う。
それを思うと、「何のために知識を得るのか」と疑問を持つことは、知識というものに対するより真摯な態度にも思える。

批判批評的態度?

文章を批判的に読めば良い、ということでもないと思う。
文章だけではなく、この文章の1つ目の「異なる意見」も同様だろう。

まず批判有りきでは、自分の裡への問いにならない。
むしろ、「一般的には~、普通は~」という論理で批判するのは、批判の為の批判、ベクトルが逆だろうと思う。
そういう意味で、上記のリンクページにある文章最後の部分

知的である、というのは頭脳が明晰であるかどうか、という話ではなく、自分自身の弱さとどれだけ向き合えるか、という話であり、大変な忍耐と冷静さを必要とするものなのだ

まさに、自分をいかに晒して、そこに向き合うか、深めるかということだろう。

すべてを批判しようという態度と、すべてを一旦飲み込んだうえで、違和感を感じるという態度は似て非なるものだと思う。
すべてを一旦飲み込む態度だと、そこに余裕と笑いが生まれる余地があると感じる。

上記3つ目の「そうでない人は、教えるためには相手に「理解する力」がなくてはいけない、と思っている 」は面白い。
私は、相手の理解する力はある程度必要で、人に何かを教えたり、教えられたりする時は、お互いを理解しようとするお互いの準備が必要だろうと思う。
コミュニケーションの1つの形であるから。
教える側が、「教える力が大切だ」というのは謙虚に見えるが、そこはかとなく「教える側」の上から目線を感じなくもない。
「教える力、大切だ」でちょうどいいくらいかな?と思う。

心底丁寧に教えても、相手が理解しないケースもある。それでも教える側の力量の問題だと最後まで言い切れるものかな?
私だったら、ちょっと理解しようとガンバロウよ!と思いそうだ。
もしくは、ある固有のケースにおいてはそうであるかもね、と感じる。
よって、どのようなケースを想定しているのかな?と想像すると、この文章は面白い。

そこここに、自分なりの違和感を感じ、思考をまとめ、論理的にどういう理由で違和感を感じたのかを突き詰め深めていける体力
その体力づくりをこうしてせっせと行う次第です。